はじめまして!生後110日の赤ちゃんと妻との3人暮らしをしている、新米パパのシードと申します。
育児ブログやSNSで見かける「#今日の〇〇」「#育児記録」には、キラキラした笑顔や、スヤスヤと眠る天使のような寝顔が溢れています。もちろん、我が子も世界で一番可愛くて、その笑顔は私たち夫婦にとって何物にも代えがたい宝物です。
しかし、育児の現実は、いつもそんな輝かしい瞬間ばかりではありませんよね。
「今日は一日、のんびり家にいた日でした」
もし、この日の日記を一行で締めくくるなら、そう書くこともできたかもしれません。しかし、その「のんびり」という言葉の裏には、一日中鳴り響く泣き声、無限に続くかのような抱っこ、そして「どうして…?」という親の切実な心の叫びが隠されていました。
これは、同じように奮闘する全国のパパさん、ママさんに「あなただけじゃないですよ」というエールを送りたくて綴る、我が家のリアルな一日の記録です。もし今、出口の見えないトンネルの中で途方に暮れている方がいらっしゃったら、少しだけお付き合いいただけますと幸いです。
プロローグ:嵐の前の静けさ、束の間の二度寝
その日の朝は、いつもと同じように始まりました。
午前5時頃。
まだ薄暗い寝室で、ベビーベッドから「ウネウネ…」「んーっ!」という、小さな怪獣が活動を開始する音が聞こえてきます。時計を見ると、まだ5時。もう少し、あと1時間だけでもいいから寝ていたい…。そんな親の願いとは裏腹に、その動きはどんどん活発になっていきます。
隣で寝ていた妻が、私より先にそっと体を起こし、慣れた手つきで赤ちゃんを自分の布団に引き寄せます。そして、そのまま添い乳での授乳が始まりました。チュパチュパという小さな音と、満足げなため息だけが部屋に響く、穏やかな時間。やがて、お腹も心も満たされた赤ちゃんは、再びスルスルと眠りの世界へ。それを見た私たち夫婦も、安心して二度寝の海に沈んでいきました。
この時の私たちは、まだ知りませんでした。この束の間の平和が、今日一日続く壮絶な戦いの、ほんの序章に過ぎないということを…。
午前中の攻防戦:眠いのに眠れない「寝ぐずり」という名の無限ループ
二度寝から目覚め、朝日が差し込むリビングで一日が本格的にスタートしました。オムツを替え、着替えを済ませ、ご機嫌なうちに…と、朝のルーティンをこなします。
しかし、昨日と同じように、今日も午前中のお昼寝タイムがなかなかやってきません。
あくびを連発し、目をしきりにこする我が子。どう見ても眠そうなサインは出ているのです。 「よし、そろそろ寝かしつけようか」 妻と目配せし、抱っこして部屋を少し暗くし、ゆらゆらと揺すってみます。
しかし、ここからが地獄の始まりでした。
眠いはずなのに、一向に寝ない。それどころか、だんだんと機嫌が悪くなっていきます。 「ふぇ…」という小さなぐずり声は、次第に「うぇーん!」という本格的な泣き声に変わり、最終的には体を反け反らせて「ギャーーーー!!」という絶叫に。
まるで、「眠たいんだ!でも眠れないんだ!どうにかしてくれ!」と全力で訴えているかのようです。
抱っこしてもダメ、おしゃぶりもダメ、メリーで気を引こうとしても火に油を注ぐだけ。寝てすっきりしてくれたら、またあの天使の笑顔が見られるのに…。そう思うものの、眠りの入り口で何度もUターンしてしまう我が子を前に、私たち親も徐々に疲弊していきます。
【雑学①】なぜ?赤ちゃんの「寝ぐずり」の正体
この「眠いのに眠れない」という現象、いわゆる**「寝ぐずり」**には、赤ちゃんの脳の未熟さが大きく関係しています。
大人の場合、眠気を感じたら自らリラックスし、意識をオフにして眠りにつくことができます。しかし、赤ちゃん、特に生後3〜4ヶ月頃までの赤ちゃんは、この**「自分で自分を眠らせる力(セルフねんね)」**がまだ備わっていません。
脳が未発達なため、眠いという生理的な欲求と、「眠る」という行動をうまく結びつけられないのです。さらに、この時期の赤ちゃんは好奇心が旺盛になり、目や耳から入ってくる情報量が一気に増えます。その結果、脳が興奮・疲労しすぎてしまい、かえって眠れなくなるという悪循環に陥ってしまうことも少なくありません。
また、赤ちゃんの睡眠は、大人とは根本的に異なります。
- 睡眠サイクルが短い: 大人の睡眠サイクルが約90分なのに対し、赤ちゃんは約40〜60分と非常に短いのが特徴です。
- 浅い眠り(レム睡眠)の割合が多い: 赤ちゃんの睡眠は、全体の約50%が浅い眠りです(大人は約20%)。これは脳を発達させるために重要だと言われていますが、その分、ちょっとした物音や光、体勢の変化で目を覚ましやすい状態にあるのです。
つまり、午前中の我が子の絶叫は、決してわがままを言っているのではなく、「脳が疲れすぎてパニック!眠りたいのにどうやって眠ればいいか分からないよ!」というSOSのサインだったのかもしれません。
午後の試練:「背中スイッチ」という名の超高感度センサー
何をしても泣きやまなかった午前中。授乳のタイミングでお腹が満たされたのか、それとも疲れがピークに達したのか、午後の授乳後、ついに赤ちゃんが腕の中でコテンと眠りに落ちました。
すーっ、すーっ…。
穏やかな寝息、ほんのり赤い頬、ぴくっと動く小さな手。 この寝顔を見るために、私たちは頑張っているんだ。 妻と顔を見合わせ、安堵のため息をつきます。
しかし、本当の試練はここからでした。
「今のうちにベッドへ…」
息を止め、心臓の音すら響かないように、そーっと、そーっとベビーベッドへ。忍者のように抜き足差し足で移動し、ゆっくりと体をかがめ、赤ちゃんの体がマットレスに触れる…その瞬間。
パチッ。
今まで閉じていた目が、嘘のように開きました。 そして、次の瞬間には、
「ふぇ…ふぇ…、ふぇーーーーーん!!ぎゃあああああ!!」
まるでベッドに無数の針でも仕掛けられているかのような、凄まじい拒絶反応。これが、世のパパママたちを恐怖に陥れる**「背中スイッチ」**です。
結局、この日、午後の睡眠時間はすべて私の抱っこの上でした。トイレに行くのも一苦労。スマホを取ろうと少し動くだけで「ん…」と唸り声が聞こえ、慌てて静止する。幸い、ソファに座ることは許されたので、身動き一つ取れないまま、ただひたすら我が子の寝顔を見つめ、時間が過ぎるのを待つしかありませんでした。
温かくて、柔らかくて、愛おしい。 でも、重い。そして、何もできない。
この矛盾した感情が、胸の中でぐるぐると渦巻いていました。
【雑学②】恐怖の「背中スイッチ」を科学する!その原因と対策
多くの親を悩ませる「背中スイッチ」ですが、これは医学的な用語ではありません。しかし、その発動には、赤ちゃんの原始的な本能や体の仕組みが関係していると考えられています。
考えられる原因:
- モロー反射: 赤ちゃんに生まれつき備わっている原始反射の一つ。大きな音や急な体勢の変化に対して、ビクッとして両手を広げる動きです。抱っこから降ろされる際の「フワッ」とする感覚がこの反射を誘発し、赤ちゃん自身が驚いて起きてしまうことがあります。
- 温度の変化: 人肌で温められていた背中が、ひんやりとしたシーツに触れることで、その温度差に驚いて目が覚めてしまいます。
- 体勢の変化(Cカーブ): ママのお腹の中にいた時、赤ちゃんはずっと背中を丸めた「Cカーブ」の姿勢で過ごしていました。抱っこされている時もこのCカーブが保たれ安心していますが、平らなベッドに寝かされると背中が伸び、不快感や不安を感じて起きてしまうことがあります。
- 安心感の喪失: 抱っこされている時に感じていた親の匂い、心音、温もりといった安心材料が、ベッドに置かれた瞬間にすべて失われることへの不安から泣き出してしまいます。
「背中スイッチ」解除のためのささやかなヒント:
- おくるみを使う: 「おひなまき」のように体を優しく包んであげることで、モロー反射を防ぎ、ママのお腹の中にいた時のような安心感を与えることができます。
- ベッドを温めておく: 湯たんぽやカイロなどで、赤ちゃんを寝かせる場所を人肌程度に温めておくと、温度差による刺激を減らせます(火傷には十分注意し、寝かせる直前に必ず取り除いてください)。
- 着地は「お尻」から: いきなり背中から降ろすのではなく、「お尻→背中→頭」の順番で、ゆっくりと、赤ちゃんの体に自分の体を密着させながら降ろしてみましょう。
- 着地後も、しばらくキープ: ベッドに置いた後すぐに体を離さず、数分間、赤ちゃんの胸やお腹に優しく手を置き、トントンしたり、耳元で「しーっ」と静かな音を立ててあげたりすると、安心して眠り続けられることがあります。
もちろん、これらは特効薬ではなく、うまくいく日もあれば、全くダメな日もあります。しかし、試してみる価値はきっとあるはずです。
核心の問い:これが噂に聞く「魔の3ヶ月」なのか?
一日中抱っこし続け、腕も腰も限界。夕方には夫婦ともに無言になり、ただただ赤ちゃんの泣き声だけが響く。そんな時、私の頭にふと、あの言葉が浮かびました。
「これって、もしかして“魔の3ヶ月”ってやつ…?」
これまで順調だと思っていた我が子に、突如として訪れた変化。どうしてこんなに泣くんだろう。何が気に入らないんだろう。私たちの何かが間違っているんだろうか…。
そんな不安に駆られ、赤ちゃんを抱っこしながらスマホで検索してみました。すると、そこには同じように苦しむ親たちの声と、いくつかの希望の光となる情報が書かれていました。
【雑学③】「魔の3ヶ月」の正体は、成長の証だった
実は、「魔の3ヶ月」という言葉には、いくつかの要因が複合的に絡み合っていると言われています。
- メンタルリープ(Wonder Weeks): オランダの心理学者が提唱した理論で、赤ちゃんは生後20ヶ月までの間に10回、知能が急成長する「リープ」を経験すると言われています。脳が急激に発達することで、赤ちゃんの世界の見え方がガラッと変わるのです。 生後3ヶ月頃(11〜12週頃)は、**「滑らかな移行のリープ」**と呼ばれる4回目のリープの時期にあたります。この時期、赤ちゃんは物の動きを滑らかに追えるようになったり、自分の手足の動きがよりスムーズになったり、様々な音の違いを聞き分けられるようになったりと、世界がより鮮明で立体的になります。 この急激な変化は、大人で言えば、ある日突然、世界がフルカラーの3Dになったようなもの。その変化に戸惑い、不安を感じて、親にしがみつきたくなる…これが「ぐずり」の原因の一つと考えられています。つまり、ぐずりは脳が急成長している証拠なのです。
- 睡眠退行(Sleep Regression): これまでお伝えしたように、赤ちゃんの睡眠サイクルは大人と大きく異なります。生後3〜4ヶ月頃になると、その睡眠パターンが徐々に大人型へと移行し始めます。この過渡期に、睡眠サイクルが一時的に乱れ、これまでよく寝ていた子が急に夜中に何度も起きたり、お昼寝が短くなったりする現象が起こります。これを**「睡眠退行」**と呼びます。これもまた、成長過程における自然な現象なのです。
- 黄昏泣き(コリック): 夕方から夜にかけて、特に理由もなく火がついたように激しく泣き出すことを「黄昏泣き(コリック)」と呼びます。原因ははっきりと解明されていませんが、一日の刺激による疲れ、お腹の不快感、体内時計が未熟なことなどが関係していると言われ、生後3ヶ月頃にピークを迎えることが多いとされています。
つまり、「魔の3ヶ月」とは、悪魔が取り憑いているわけでも、親の育て方が悪いわけでもなく、赤ちゃんが人間として次のステージへ進むために、心と体の中で大きな変化が起きている「成長の嵐」の時期だったのです。
エピローグ:戦友たちへ。今日の学びと明日への希望
長い長い一日が終わり、お風呂に入ってミルクを飲み、ようやく赤ちゃんは深い眠りにつきました。寝室から漏れる小さな寝息を聞きながら、妻と二人、ソファでぐったりと空を見つめます。
「今日も、お疲れ様」 「お疲れ様。…すごかったね、今日」
会話はそれだけでしたが、お互いの目を見れば、言葉にしなくてもすべてが伝わりました。
確かに、今日は壮絶な一日でした。心も体も疲れ果てました。でも、一日中抱きしめていた我が子の温もり、ミルクの匂い、小さな寝顔は、何にも代えがたい愛おしい記憶として、この腕に、この胸に、確かに残っています。
「魔の3ヶ月」の正体が、我が子の成長の証だと知って、少しだけ心が軽くなりました。理由が分からないまま泣かれるのは辛いですが、「今、この子の頭の中では世界が変わるほどの大革命が起きているんだ」と思えば、もう少しだけ、この絶叫に付き合ってあげられるような気がします。
明日、今日調べた「背中スイッチ対策」を試してみよう。 明後日、新しい「メンタルリープ」の兆候が見られるかもしれない。
育児は、毎日が予測不能な冒険です。綺麗なことばかりではないけれど、昨日できなかったことが今日できるようになる、そんな小さな成長を発見できる喜びに満ちています。
今この瞬間も、日本のどこかで、眠い目をこすりながら赤ちゃんを抱っこしているパパさん、ママさん。あなたは決して一人ではありません。本当に、毎日お疲れ様です。
この長く暗いトンネルにも、必ず終わりは来ます。そして、トンネルを抜けた先には、きっと我が子のまぶしい笑顔が待っているはずです。
私たちも、また明日から頑張ります。一緒に、この愛おしくも壮絶な時期を乗り越えていきましょう。
もしよろしければ、あなたの「魔の3ヶ月」体験談や、我が家だけの「寝かしつけ必勝法」など、コメントで教えていただけると嬉しいです。


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