【祝・敬老の日】生後104日の娘と離れ、入社8年目の僕がZ世代の就活から学んだ「現場の空気感」

シードのホームワーク

皆さん、こんにちは!シードと申します。

生後104日になる娘と、いつも笑顔で家を照らしてくれる妻との3人暮らし。睡眠不足と幸せを噛みしめる毎日を送っている新米パパです。

本日、カレンダーは敬老の日を指しています。祝日ですが、私の職場は通常運転。少し寂しい気持ちを胸にオフィスへ向かう一方、妻と娘はお昼頃、妻の実家へと里帰りしていきました。きっと今頃、じいじ・ばあばに最高の笑顔をプレゼントしていることでしょう。

今日のブログは、そんな特別な日に起こった、私にとって忘れられない一日についてです。愛娘の成長への小さな悩み、入社8年目にして初めて体験した仕事での大きな「気づき」、そして未来を担う若者たちとの会話から見えた、時代の変化。一見するとバラバラなこれらの出来事が、不思議と一本の線で繋がった、そんな考察の記録です。

育児に奮闘中のパパ・ママ、キャリアに悩むビジネスパーソン、そして就職活動を控える学生さんにも。少し長くなりますが、ある技術者の内省の記録として、最後までお付き合いいただけると嬉しいです。


◆第1章:父の独り言。生後104日の君へ

さて、冒頭でも触れましたが、私の娘は生まれて104日。俗にいう「生後3ヶ月」の真っ只中です。

この時期の赤ちゃんの成長速度は、まるで倍速再生の映像を見ているかのよう。数週間前まではか細い声で泣いていたのが、今では「うー」「あー」といったクーイングで感情豊かに自己主張。私たちが部屋の中を移動すれば、小さな瞳が一生懸命その姿を追いかけてきます。そして何より、グラグラしていた首がだいぶしっかりしてきました。両脇を支えて抱き上げると、自分の力でぐっと頭を持ち上げる。その健気な姿に、生命の力強さを感じずにはいられません。

そんな日々の成長が喜ばしい一方で、最近の私たち夫婦には一つ、大きな課題が。それは、娘の寝かしつけです。

ここ最近、どうも体力が有り余っているようで、すんなりと寝てくれないことが増えました。まるで小さなアスリートのように、手足を全力でバタつかせ、声を張り上げて大・号・泣!その有り余るエネルギーを全て燃焼し尽くさないと、スイッチが切れたようにコテンと寝てくれないのです。

これは、赤ちゃんの成長過程で多くの親が経験する「魔の3ヶ月」や「睡眠退行」と呼ばれる現象なのかもしれません。

【育児お役立ちコラム①】赤ちゃんの「睡眠退行」ってなに?

「睡眠退行(Sleep Regression)」とは、これまで比較的よく寝ていた赤ちゃんが、突然夜中に何度も起きたり、寝つきが悪くなったりする現象を指します。これは親の育て方が原因ではなく、赤ちゃんの脳や身体が急速に発達している健全な証拠です。

  • 主な時期: 生後4ヶ月、8〜10ヶ月、1歳半頃に起こりやすいとされています。生後3ヶ月の終わり頃からその兆候が見られることも少なくありません。
  • 原因:
    • 脳の発達: 睡眠パターンが新生児期の浅い眠り中心のものから、大人と同じようなレム睡眠(浅い眠り)とノンレム睡眠(深い眠り)のサイクルに移行するため、眠りの合間に目を覚ましやすくなります。
    • 身体的発達: 寝返り、おすわりなど、新しいスキルを習得する時期は、脳が興奮状態になり、眠りが浅くなる傾向があります。
    • 精神的発達: 周囲の物事をよりはっきりと認識できるようになり、好奇心から眠ることを拒否したり、親と離れることに不安(分離不安)を感じ始めたりすることも一因です。

この時期の赤ちゃんは、いわば脳内で大規模なOSのアップデートが行われているような状態。一時的に動作が不安定になるのも当然です。親としては心身ともに辛い時期ですが、「成長痛のようなものなんだ」と捉え、一貫したねんねルーティン(お風呂→保湿→授乳→寝かしつけなど)を続けることで、赤ちゃんも次第に新しい睡眠リズムに順応していきます。

妻からのLINEを気にしつつ、「今頃、大泣きしてないだろうか…」なんて、仕事の合間についつい考えてしまいます。慣れない環境でのワンオペ育児は、普段の何倍も気疲れするはず。娘のパワフルな泣き声は、時に親の体力と精神力を根こそぎ奪っていきますから。

父親として、夫として、何もできずにデスクにいる自分が少しもどかしい。そんな思いを抱えながら、午後の業務へと向かったのでした。


◆第2章:8年越しの工場見学と、Z世代のリアル

さて、私の個人的な感傷に浸るのはこのくらいにして、話を仕事に戻しましょう。

今日の私には、一つ特別なミッションがありました。それは、工場見学です。

何を隠そう、私は現在の会社に入社して8年目。電子機器の心臓部とも言える「プリント基板」の設計に携わってきました。自分が設計した基板は、世の中の様々な製品に組み込まれ、人々の生活を陰ながら支えています。…と、言えば聞こえは良いのですが、実は私、これまで自分の設計した基板が、工場でどのように「物質」として生み出されているのかを、この目で一度も見たことがなかったのです。

設計データを描き、工場に送る。すると製造上の都合で「ここの設計、こう変更できませんか?」といった指摘が返ってくる。私はその指示に従ってデータを修正する。基本的には、そのサイクルの繰り返し。もちろん、知識として製造工程のことは勉強しました。本を読み、資料に目を通し、頭の中では完璧に理解している「つもり」でした。

そんな中、今年は我が部署に2人のインターンシップ生が来てくれています。彼らの研修プログラムの一環として工場見学が企画され、その引率役である先輩から、「シード君も、良い機会だから一緒に行かないか?」と声をかけてもらったのです。

まさに、渡りに船。主役はあくまでインターン生ですが、私は「ついで」という形で、念願の工場見学に参加させてもらうことになりました。入社8年目の社員が、キラキラした眼差しの学生たちに紛れ込んでの参加。少し気恥ずかしい気持ちもありましたが、それ以上に好奇心が勝っていました。

百聞は一見に如かず。「腹落ち」した二つの瞬間

工場の扉をくぐると、そこはまさに異世界でした。機械の駆動音、薬品の独特の匂い、整然と並んだ巨大な装置、そして黙々と作業をこなす従業員の皆さん。これまでPCの画面越しに見ていた無機質なデータが、ここで命を吹き込まれていくのだと肌で感じ、鳥肌が立ちました。

数々の工程を見学する中で、私にとって特に衝撃的だったのが、過去に工場から指摘を受けた二つの工程を目の当たりにした瞬間です。

一つは「基板分割」。製造効率を上げるため、大きな一枚の板に同じ基板を複数並べて作り、最後に分割するのですが、その分割ラインのすぐ脇に部品を配置してしまい、「カッターの刃が当たるから修正してほしい」と言われたことがありました。

今日、私は目の前で見ました。高速で回転するカッターが、寸分の狂いもなく基板にV字の溝を刻んでいく様を。そのすぐ脇を他の部品がギリギリでかすめていく様子を。「ああ、このクリアランスを確保しないと、部品を削り、機械を止め、生産計画を狂わせてしまうのか…」と。教科書に書かれた一行のルールが、突如として立体的な意味を持ち始めた瞬間でした。

もう一つは「レーザー刻印」。製品のトレーサビリティのためにシリアルナンバーなどを刻印する工程です。以前、文字サイズを小さくしすぎて「これでは潰れて読めない」と指摘されたことがありました。PC上ではいくらでも拡大できますが、現実の世界ではレーザーのスポット径やインクのにじみといった物理的な限界が存在します。

「シュンッ!」という小気味良い音と共に、コンマ数秒で焼き付けられていくQRコード。「この一瞬が確実に成功するように、あの指摘はあったんだな」。それは、後工程や市場への責任感から来る、現場からの切実なメッセージだったのだと、8年目にしてようやく腹の底から納得できたのです。

インターン生が教えてくれた「就活の現場」

この強烈な「腹落ち」体験に興奮冷めやらぬ中、見学の合間の休憩時間や移動の車中で、私はインターンシップ生の2人と話す機会を得ました。Z世代と呼ばれる彼らの目に、私たちの会社や仕事はどのように映っているのか。純粋な興味から、私は尋ねてみました。

「最近の就職活動って、どんな感じなの?僕らの頃とはだいぶ違うんだろうね」

すると、彼らは目を輝かせながら、驚くべき「就活の現場」について教えてくれました。

「そうですね、まずインターンシップへの参加がほぼ必須になってます。僕らもそうですけど、ここでしっかり企業の人と関係を作って、いわば『顔を売って』おくことが、本番の選考に繋がるんです」

「顔を売る」。なんと生々しく、そして的確な表現だろうか。私の時代もインターンはありましたが、どちらかといえば業界研究や企業理解が主目的で、選考に直結するケースは一部の大手企業に限られていたように思います。しかし今は、それがスタンダードになっているというのです。

「それに、とにかく動き出しが早いです。大学3年の夏にはもう主要なインターンが始まって、そこから本選考までずっと走り続ける感じですね。早いタイミングから動ける人しか勝ち残れないっていう空気は、すごく感じます」

なるほど、就活戦線の早期化・長期化は、我々の頃よりもさらに加速しているようです。そして、もう一つ、決定的に違う点がありました。

「あと、コロナ禍以降、リモート面接の会社が圧倒的に増えました。一次、二次はほとんどオンラインですね。移動時間や交通費がかからないのは助かるんですけど…」

そう言って、一人の学生が少し困ったように続けました。

面接官の空気感をリモートで掴むのが、本当に難しいんです。対面なら、ちょっとした表情の変化とか、部屋に入った時の雰囲気とかで色々感じ取れるじゃないですか。でも画面越しだと、相手が本当に自分の話に興味を持ってくれているのか、それともただ相槌を打っているだけなのか、全然分からなくて…」

この言葉に、私はハッとさせられました。それは、私が入社8年目にして初めて工場見学で得た「腹落ち」の感覚と、どこか通じるものがあるように感じたのです。

【働き方コラム】リモート面接の功罪

コロナ禍を経て急速に普及したリモート(オンライン)面接。学生にとっては地方からでも大都市圏の企業の選考を受けやすくなり、企業にとっては採用コストの削減や、より多くの候補者と接点を持てるというメリットがあります。

一方で、インターン生が指摘した「空気感が掴みづらい」というデメリットは、学生・企業双方にとって深刻な課題です。

  • 非言語コミュニケーションの欠如: 対面では表情、声のトーン、姿勢、身振り手振りといった非言語情報がコミュニケーションの多くを占めます。しかし、画面越しではこれらの情報が著しく制限され、微妙なニュアンスが伝わりにくくなります。
  • 相互理解の難しさ: 学生は企業の「社風」や「人」を肌で感じることが難しく、企業側も学生の潜在的な人柄や熱意を見抜きにくくなります。結果として、入社後のミスマッチに繋がるリスクも指摘されています。

この課題に対し、VR(仮想現実)技術を使ったバーチャルオフィスでの面接や、対面とオンラインを組み合わせたハイブリッド選考など、新たな試みも始まっています。テクノロジーの利便性を享受しつつ、いかにコミュニケーションの質を担保していくか。これは、採用活動に限らず、今後のリモートワーク時代における普遍的なテーマと言えるでしょう。


◆第3章:「腹落ち」と「空気感」の共通点

会社への帰り道。すっかり暗くなった空を見上げながら、私は今日一日の出来事を反芻していました。

午後の工場で体験した、技術的な「腹落ち」。 そして、インターン生との会話で知った、現代の就活における「空気感」という課題。

この二つは、根っこで繋がっているのではないか。

私がPCの画面上で見ていた設計データは、まさにリモートワークそのものです。そこには、機械の音も、油の匂いも、作業する人の息遣いもありません。だから、工場からの指摘を「ルール」としてしか理解できず、その背景にある物理的な制約や、人の想いといった「手触り感」を全く想像できていませんでした。

しかし今日、初めて「現場」という物理空間に身を置き、五感でその全てを体験したことで、知識は一気に血の通った「知恵」へと変わりました。これこそが「腹落ち」の正体です。

一方で、インターン生たちが苦労しているリモート面接も同じ構図です。画面越しに見える面接官は、いわば「データ化された情報」に過ぎません。その人の持つ雰囲気、熱意、あるいは人間的な温かみといった「空気感」は、デジタルの回線を通るうちに大部分が削ぎ落とされてしまう。だから、学生たちは相手の本心を掴めずに不安になり、自分を最大限にアピールすることに困難を感じるのです。

結局のところ、人間が何かを深く理解し、納得するためには、情報だけでは不十分なのだと思い知らされました。その情報が置かれている「現場」のコンテクスト、つまり**物理的な環境や、そこにいる人々の非言語的な情報(=空気感)**に触れて初めて、私たちは物事の本質を掴むことができるのではないでしょうか。

「百聞は一見に如かず」とは、まさにこのことを指すのでしょう。そして、私が入社8年目にしてようやく辿り着いたこの結論を、Z世代の彼らは就職活動という人生の入り口で、すでに肌感覚として掴んでいる。その事実に、私は軽い衝撃と、彼らに対する深い敬意を覚えました。


◆結びに代えて:世代を超えて受け継がれるべきもの

今日は敬老の日。この国を支え、豊かな社会を築いてくれた偉大な先人たちに、改めて敬意と感謝を表する日です。

彼らが築き上げてきた技術や知恵を、私たち世代が正しく受け継ぎ、そして次の世代へと渡していく。今日の工場見学は、そのリレーのバトンをしっかりと握りしめるような、そんな誓いの日となりました。

しかし、継承されるべきは、技術や知識だけではありません。

インターン生たちとの会話を通じて、私はベテランである自分自身が、未来を担う若者たちから学ぶべきことがいかに多いかを痛感しました。彼らの柔軟な思考、情報感度の高さ、そして厳しい環境を乗り越えようとする真摯な姿勢。それらは、凝り固まりがちな私の頭をガツンと殴ってくれるような、新鮮な刺激に満ちていました。

世代間の知恵の交換。それもまた、未来へ繋ぐ大切な「継承」の形なのかもしれません。

さて、そろそろ妻と娘が帰ってくる頃でしょうか。

今日は、有り余る元気で大泣きする娘を、いつもより少しだけ広い心で抱きしめてあげられそうです。その泣き声も、表情も、温もりも、全てがリモートでは決して伝わらない、かけがえのない「現場の空気感」なのだから。

そして、その小さな背中をさすりながら、今日の工場での感動と、未来を作る頼もしい若者たちに出会えたことを、いつか大きくなった君に話して聞かせたい。

君が生きる未来を作る、父の仕事の話を。

長文となりましたが、最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。

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