嵐の夜、静かなる敗北
昨晩も、それは突然やってきました。午前2時。静寂を切り裂く赤子の泣き声。反射的に目を開けるものの、体は鉛のように重く、意識は深い眠りの淵から這い上がってきません。次に意識がはっきりした時、すでに妻が赤ちゃんを抱え、優しい光の中で授乳を始めていました。その姿に、私はそっと近づいていきました。何か手伝えることはないかと、微かな期待を胸に。
しかし、返ってきたのは「やることないから、寝てていいよ」という、あまりにもあっさりとした一言。
戦力外通告。
まさに、青天の霹靂でした。
もちろん、理解はできます。母乳という、母親にしかできない絶対的な仕事。そして、その前に妻がすでにオムツ交換まで済ませていたと知れば、私の出る幕はどこにもありません。手も足も出ない。文字通り、指をくわえて見ているしかない状況です。
正直なところ、少しばかりの寂しさと、自分の無力さに打ちひしがれる思いでした。父親として、この小さな命のためにできることは何だろう。そんな問いが頭の中を駆け巡ります。しかし、今の私にできることと言えば、妻の負担を少しでも減らすべく、彼女が安心して眠れる時間を作り出すこと。それしかないのです。
反省にも似た気持ちで、私は再びベッドに潜り込みました。次に目覚めたのは午前6時。妻は今度は添い乳で赤ちゃんに授乳をしていました。その静かで穏やかな光景に、胸の奥が温かくなるのを感じました。
朝のサプライズと「コアラ抱っこ」の奥義
午前7時頃。再び、赤ちゃんの泣き声が響き渡りました。
「あれ?さっき飲んでたばかりなのに、もうお腹が空いたわけじゃないはずだよな…?」
まだ眠り続ける妻の横で、私は頭をひねります。きっと、目が覚めてびっくりしちゃったのかな?そう思い、私はそっと赤ちゃんを抱き上げました。そして、妻が少しでも長く眠れるようにと、そのままリビングへと向かいました。
ここからは、私と赤ちゃんの二人きりの時間です。リビングをひたすら歩き回ります。縦抱っこ、横抱っこ、ゆらゆら揺らしてみたり、歌を歌ってみたり。あらゆる手を尽くしますが、なかなか寝てくれません。新生児の頃の朝方は抱っこして揺らせばすぐに寝てくれたのに、生後数ヶ月経つと、赤ちゃんも個性を発揮し始めます。簡単には寝てくれない、まさに手強い相手です。
しかし、ここで諦めるわけにはいきません。私は最終兵器、**奥義「コアラ抱っこ」**を繰り出すことにしました。
これは、コアラの親子が互いに抱き合うように、赤ちゃんを私の胸にしっかりと抱きかかえる抱き方です。赤ちゃんは私の体に密着し、安心感を得られると同時に、少しだけ体が伸びるような形になります。この体勢になったら、私はゆっくりとソファに仰向けになり、赤ちゃんを私の胸の上に「タミータイム」の状態にします。
「タミータイム」とは、赤ちゃんをうつ伏せにして遊ばせる時間のこと。通常は床の上で行いますが、ここでは私の体の上で行います。この体勢になると、赤ちゃんはまるでハイハイの練習をするかのように、手足をバタバタさせたり、首を持ち上げようとしたりし始めます。そう、この「コアラ抱っこからのタミータイム」は、赤ちゃんにとって一種の遊びであり、適度な運動になるのです。
予測通り、赤ちゃんはきゃっきゃと声を出しながら、楽しそうに手足を動かし始めました。その様子は、まるで小さな冒険家が新しい世界を探検しているかのようです。30分ほどこの「遊び」を続けると、次第に手足の動きが緩やかになり、やがて規則正しい寝息が聞こえ始めました。
やった!作戦成功です。
私はそっと赤ちゃんをプレイマットに移動させました。まるで壊れ物を扱うかのように慎重に、ゆっくりと。そして、赤ちゃんが完全に夢の中に入ったことを確認し、心の中でガッツポーズ。
チェックメイト!
この小さな勝利感は、何物にも代えがたいものです。
家族の休日と、社会への眼差し
午前中の激闘を終え、午後からは少しばかりの休息と、家族の時間が待っていました。お昼は、久しぶりに揚げ物を食べようということで、唐揚げとフライドポテト。この手軽で美味しい組み合わせは、疲れた体と心に染みわたります。
食後は少しだけ昼寝をし、その後は家族で外出です。まずは、参議院選挙の投票へ。そして、その足で買い出しに出かけました。
最近、SNSを見ていると、選挙や政治の話題が以前にも増して活発に議論されているのを目にします。若い世代の間でも、社会に対する関心が高まっているのを感じ、大変心強く思っています。今の日本は、長引く経済の低迷、少子高齢化、国際情勢の不安定化など、多くの課題に直面しています。
私自身も、この国の未来に対して強い危機感を抱いています。特に、私のような製造業に身を置く者としては、今の政権の舵取りには疑問を感じざるを得ません。どんなに素晴らしい製品を作り、世界に誇れる技術力を持っていたとしても、それを国内外に流通させ、購入してもらうための制度や仕組みが整っていなければ、事業として成り立ちません。今の政治は、産業界全体を活性化させるためのビジョンが見えないように感じます。
だからこそ、国民一人ひとりが真剣に政治と向き合い、声を上げることが重要だと考えています。今の停滞した状況を打破し、日本が再び力強い国として世界に存在感を示すためには、新しい風、新しいリーダーシップが必要です。私たち国民が、現状を打破し、強い日本を取り戻してくれる政党に期待を寄せ、一票を投じることで、社会がより良い方向に変わっていくことを切に願っています。
投票を終え、買い物も済ませて帰宅。休日らしい充実した一日を過ごせました。
贅沢な晩餐と、新たな挑戦
晩ごはんは、伯父さんからいただいた上質な牛肉を使ったすき焼きでした。
普段、なかなか口にすることのない高級な牛肉。何か特別な機会がないと食べないからこそ、その味はより一層格別です。とろけるような肉の旨みが口いっぱいに広がり、家族の会話も弾みます。日中の疲れも、この美味しいすき焼きで癒されていくようでした。
食事が終わり、赤ちゃんが眠りについた後、妻と二人で赤ちゃんの寝かしつけについて少し相談をしました。最近の悩みの種は、お風呂上がりの時間です。赤ちゃんは午後6時頃にお風呂に入り、その後授乳をすると、基本的にはずっとグズグズしています。泣くたびに授乳をしているのですが、高頻度で求められることが、妻にとっては大きなストレスになっているとのことでした。
確かに、赤ちゃんも眠たいけれど、うまく眠れなくて泣いているような感じがします。満腹になればぐっすり寝てくれるはずなのに、母乳だけだとどうしても足りないのかもしれません。
そこで、私たちは新たな作戦を考案しました。それは、「ミルクの追加」です。
母乳だけでは満たされないであろう赤ちゃんの胃袋を、ミルクで補い、満腹にして寝かせるというシンプルな作戦です。これで赤ちゃんが満腹感を得て、ぐっすり眠ってくれるなら、妻の負担も軽減され、赤ちゃんも快適に眠れるはずです。
明日から、この新しい作戦を試してみることにしました。果たして、このミルク追加作戦は成功するのでしょうか? 赤ちゃんの夜泣きに、一筋の光を差し込むことができるのか?
明日の結果が、今から楽しみでなりません。また、ご報告できたらと思います。
#53日後に育休から職場復帰する夫
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