電子部品の抵抗について
電子回路の設計や製作において、抵抗は欠かせない基本的な部品の一つです。この記事では、抵抗の基本的な役割や種類、使用方法について詳しく紹介します。
抵抗とは?
抵抗(Resistor)は、電流の流れを制御するための電子部品です。抵抗は、電流を減少させたり、電圧を分圧したりする役割を果たします。オームの法則(V = IR)に基づき、抵抗値(R)は電圧(V)と電流(I)の比率で決まります。
抵抗の構造
抵抗の構造は以下のようになっており、抵抗値とはその物体がどれだけ電流を流しにくいかを表しています。一般的には電流が流れる向きに対する断面積 (S)、長さ (L)、抵抗率(ρ)で決まります。
抵抗の種類
抵抗にはさまざまな種類がありますが、主に以下のように分類されます:
- 固定抵抗:抵抗値が一定のもの。一般的に使用される。中学校などで半田付けしたリード抵抗や電子部品についているチップ抵抗が代表例です。
- 可変抵抗(ポテンショメータ):抵抗値を調整できるもの。音量調整などに使用。つまみをひねることで抵抗値が変化する仕組みになっている。
- サーミスタ:温度によって抵抗値が変わるもの。温度センサーとして使用。温度が高くなると抵抗値が下がる負特性サーミスタ(NTC)と正特性サーミスタ(PTC)がある。
- フォトレジスタ:光の強さによって抵抗値が変わるもの。光センサーとして使用。光の強さが強くなると抵抗値が低下する。
抵抗の使用方法
抵抗は、以下のような用途で使用されます:
- 電流制御:LEDなどのデバイスに流れる電流を制御するために使用。ICなどのデバイスに過電流が流れ込み、デバイスが故障することを防止するために使用します。
- 電圧分圧:特定の電圧を得るために使用。マイコンでAD値として電圧を読むときなどに、マイコンの読み取り電圧より高い電圧は読めないため、分圧することでマイコンが電圧を検出できるようになります。
- フィルタ回路:高周波ノイズを除去するために使用。コイルやコンデンサと組み合わせて使いますが、電気的なノイズによって値を誤判定してしまうことがあるので、誤判定を防止するためにノイズを除去するために使います。
抵抗の選び方
抵抗を選ぶ際には、以下のポイントを考慮する必要があります:
- 抵抗値:回路設計に必要な抵抗値を選ぶ。
- 許容誤差:抵抗値の誤差範囲を確認する。
- 定格電力:抵抗が耐えられる最大電力を確認する。
温度特性
抵抗には温度特性があります。上記の抵抗の構造で出てきた抵抗率(ρ)は温度によって変化します。
温度が高ければ抵抗率は高くなります。下の式(1)に温度特性の公式を記載しました。
ρ0は基準温度での抵抗率、αが温度係数、tは温度差になります。
ρ=ρ0(1+αt)・・・・・・・式(1)
例えば20度の時のρ0が1だった時、100度環境下でのρ100は式(2)で求められます。
αは材料によって異なるので、抵抗の材質から調べましょう
ρ100=ρ0(1+α(100-20))・・・・・・・式(2)
ただし、チップ抵抗は複数の材料で構成されており、温度が下がる方が抵抗値が増加することもあります。なので、温度特性を検討するときは、温度変化によって抵抗値が大きくなる側と抵抗値が小さくなる側の両方を考える必要があります。
まとめ
抵抗は、電子回路の基本的な部品であり、さまざまな用途で使用されます。抵抗の種類や使用方法を理解することで、より効果的な回路設計が可能になります。次回のプロジェクトで、ぜひ抵抗の選び方や使い方を参考にしてみてください。
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